中東情勢によるナフサ(シンナー)不足について
結論からお伝えすると、2026年4月以降、塗料・シンナー・シーリング材をはじめとした建築資材は、過去に例を見ない規模で値上がり・供給制限が起きています
「テレビで中東情勢のニュースを見て不安になった」
「ホームセンターからシンナーが消えたと聞いた」
「塗料の値上がりで外壁塗装が高くなるって本当?」
最近、お客様からこうしたお問い合わせが急増しています。この記事では、こうした混乱期に必ず現れる便乗値上げ・悪質業者を見抜くポイントもご紹介しますので、後悔のない判断のためにぜひ最後までお読みください。
石油・ナフサ・シンナーの関係を解説
外壁塗装で使われる塗料(水性塗料を除く)やシンナーは、「石油から作られている製品」です。正確には、石油を蒸留する際に得られる成分の「ナフサ」が塗料やシンナーの原料となります。
あまり聞いたことがないかもしれませんが、ナフサはプラスチック・合成繊維・接着剤など、あらゆる製品に使われています。
石油の輸入が止まれば、ナフサの生産量が激減し、それに連動してシンナーや塗料の原料も入手できなくなるのです。
ところが、2026年2月末に中東で起きた軍事衝突をきっかけに、原油の主要輸送ルートであるホルムズ海峡が事実上封鎖状態となりました。
石油は、中東依存度は2025年に約94%に達しており、ホルムズ海峡を経由した石油輸入量は9割。また、ナフサは約4割を国内で生産し、約4割超を中東から輸入、残る2割をその他の地域から輸入しています。
もう少し具体的に、供給の流れを見てみましょう。
【中東の油田】
↓ タンカーでホルムズ海峡を通って輸送
【日本の製油所】
↓ 原油を精製してナフサを抽出
【石油化学メーカー】
↓ ナフサを分解してシンナー・樹脂・各種原料に
【塗料メーカー】
↓ シンナー・樹脂・顔料を配合して塗料を製造
【塗料販売店・問屋】
↓
【塗装業者】
↓
【お客様の住まい】
このピラミッドの最上流である「石油の供給」が滞ると、その影響は下流に進むほど時間差で大きな影響となって現場に到達します。
「ニュースで国が備蓄の石油を準備していると言っていたけど…」このように思うかもしれません。
注目すべきは、ナフサは国家備蓄の対象外という点です。日本には石油備蓄制度がありますが、これはあくまで「燃料(原油・ガソリン等)」を対象としています。
さらに当初は、影響は溶剤系塗料に使うシンナー類だけに限られると見られていました。しかし2026年4月以降は、水性塗料の主原料である合成樹脂エマルションや酸化チタンにまで影響が拡大しており、油性・水性を問わず、ほぼすべての塗料が値上げ・供給制限の対象になっています。
塗装工事への実際の影響について
以下の影響をまとめると、外壁塗装工事のトータル金額としては、戸建て一棟あたり10〜30万円規模の値上がりが現実に起きつつあります(時期・住宅の規模・仕様によって変動)。
■塗料価格の大幅な値上がり
2026年4月以降、大手塗料メーカー各社が10〜30%規模の価格改定を実施。1回の値上げで済まず、複数回にわたる段階的な値上げ通知が届いています。
■出荷調整・受注停止
価格改定だけでなく、「ご注文いただいても出荷できない」という出荷調整・出荷停止が始まっています。
■シーリング材・防水材など関連資材も同時に値上げ
塗装工事は塗料だけでは成立しません。シーリング材・プライマー・防水材なども同様にナフサ由来であり、こちらも出荷規制や30%超の値上げが相次いでいます。
現在の塗料業界の状況|大手メーカーが続々と値上げ・出荷制限を発表
ここでは、2026年春以降に各メーカーから実際に発表された内容の一部をご紹介します(随時更新中)。
日本ペイント:シンナーをはじめ複数製品の価格改定を発表。特に初期段階でシンナー類75%値上げは業界に大きな衝撃をもたらしました
関西ペイント:自動車補修用塗料を含む幅広い製品で価格改定
大日本塗料(DNT):一部製品で出荷停止・通販在庫切れが発生
スズカファイン:「企業努力ではもはや吸収不可能」として価格改定を実施、影響範囲がシンナー・溶剤系から水系塗料の主原料にまで拡大していることを公表
シーリング材メーカー(サンスター技研など):シーリング材・接着剤を30%以上値上げ
ルーフィングメーカー:屋根工事用の防水シートが40〜50%という大幅値上げ
このナフサショックはいつまで続くのか?
率直にお伝えすると、現時点では終息時期を断言できません。「ホルムズ海峡が平時の通航水準に戻り、サプライチェーン全体の目詰まりが解消されるまで」というのが業界共通の見方ですが、それがいつになるかは中東情勢次第です。
仮に中東情勢が今すぐ落ち着いたとしても、
・タンカーの再配船と輸送日数
・製油所の稼働率回復
・各メーカーの在庫や生産調整
・流通在庫の正常化
これらが順次回復するまでには、最低でも数ヶ月〜半年程度の時間が必要と見られています。「危機が終わった翌日から元の価格に戻る」というシナリオは、残念ながら現実的ではありません。
今塗装すべきか、待つべきか?判断のポイント
塗り替え時期が近づいているお住まいは、できるだけ早く動くことをおすすめします。
理由1:今後さらに値上がりする可能性が高い
中東情勢は短期間で改善する見通しが立っておらず、メーカーからは「今後さらなる価格改定が追加実施される可能性」が公式にアナウンスされています。「待ったほうが安くなる」という材料は、現時点でほぼ存在しません。
理由2:希望の塗料が手に入らなくなるリスク
お客様が「この塗料で塗りたい」と希望されていても、出荷停止・受注停止により指定の塗料が手配できないケースが出始めています。早く動くほど選択肢が広く確保できます。
理由3:劣化を放置すると修繕費がさらに増える
外壁塗装は、見た目の問題だけでなく、雨水の侵入を防ぐ機能があります。塗装の劣化を放置すれば、防水機能の低下 → 下地の腐朽 → 大規模補修、と被害が拡大します。一度進んでしまった構造体の劣化は、塗装の値上がり以上のコストになってしまいます。
一方で、こんなお住まいは「待つ」選択肢もありです。
・前回塗装から5年未満で、明らかな劣化症状がない
・築年数が浅く、メーカー保証期間内である
・今後1〜2年以内に増改築・建て替えを予定している
ご自宅がどちらに該当するか判断に迷う場合は、お気軽に無料現地調査をご依頼ください。「今やるべき家」と「まだ待てる家」を、プロの目で正直にお伝えします。











