外壁・屋根塗装の下地処理の重要性
下地処理こそ一番重要な作業だと言う業者も少なくありません!
下地とは素地(元の下地)や旧塗膜(塗料を塗って造られた幕)のこと言い、下地処理は、素地を補修または強化するための処理で、塗装工事前に塗装面の状態を整えるのが目的です。
手を抜いてしまうと、数年で剥がれが起きたり、初期不良が起こる可能性があるため、下地処理こそ一番重要な作業だと言う業者も少なくありません。
下地処理とは
下地とは素地(元の下地)や旧塗膜(塗料を塗って造られた幕)のこと言い、下地処理は、素地を補修または強化するための処理で、塗装工事前に塗装面の状態を整えるのが目的です。
手を抜いてしまうと、数年で剥がれが起きたり、初期不良が起こる可能性があるため、下地処理こそ一番重要な作業だと言う業者も少なくありません。
下地処理の重要性
下地処理は、防水性と耐久性を高める重要な工程です。
下地処理をせずに塗装すると、塗膜が剥がれていた部分やひび割れ(クラック)が発生していた部分は、塗料が均一に付かずに仕上がりに影響してしまいます。また、せっかく機能が良い塗料を使用していても、きちんと下地処理を施さないと内側の古い塗装が剥がれてしまい、新しい塗膜の耐久性が失われてしまうのです。
外壁材や塗料にはたくさんの種類があり、ひび割れ(クラック)、サビが発生しやすいものもあるので、下地処理をする前に、外壁の種類をあらかじめ把握しておくのが大切です。
下地処理の作業内容
高圧洗浄
・高圧洗浄とは
外壁塗装の高圧洗浄は非常に大切な作業で、外壁の表面にある古い塗膜を取り除くために行われます。もちろん古い塗膜以外にも、カビ、藻、コケ、汚れ、チョーキングの粉など外壁表面の様々な汚れをまとめて落とすことも高圧洗浄の目的です。
例えば、チョーキング現象が起きている外壁に高圧洗浄をせずに塗装すると、旧塗膜が剥がれる際に、新しい塗料まで一緒に剥がれてしまいます。そのため、耐用年数を迎える前に外壁のメンテナンスが必要になってしまい、費用も余分にかかってしまうのです。実際に、「塗装から1年位しか経っていないのに塗装が剥がれている」というお問い合わせもよくあります。
※「チョーキング現象」とは、外壁の表面を触ると手に粉がつく現象で、紫外線や雨風の影響で表面の塗膜が劣化すると発生します。自宅でチョーキング現象が起きているかは、業者ではなくても自分で外壁を触って確認することができます。
・使用する道具
高圧洗浄を行うときに使うのが、電動式の高圧洗浄機(ジェッター)です。昔は手作業でブラシやサンドペーパーなどを使用して汚れを取っていましたが、チョーキングの粉を取りづらいことや、凹凸があるリシンなどの外壁は古い塗膜が落ちないなどの欠点があるため、現在では高圧洗浄機が使用されるようになりました。
昔からある業者の中には、高圧洗浄をしないという業者もあるようですが…そもそも高圧洗浄機が腐朽してから30年程と時間もさほど経過していないため、機械を使わない業者がいてもおかしくはないのかもしれません。。
もちろん、デメリットはあります。
①水道代が施主側の負担になる
②洗浄後の乾燥に時間が必要
③使用中は騒音が出る
ということなどがあげられます。
③の騒音に関して
業者は一般的に住宅地が主な工事場所になるので、防音性のある高圧洗浄機を持っている場合がほとんどです。ですが、高圧洗浄機を持っていない業者の場合は、機械を借りていることがあり、レンタル品は大きな音が発生する機械も中にはあるので、必ず静音性の洗浄機が使われるかは分かりません。依頼する業者が静音性を持つ高圧洗浄機を持っているか、確認するのもよいでしょう。
また、工事前に施工業者の方から、近隣に挨拶をしてくれると思いますが、高圧洗浄の作業中に騒音が出ることも伝えてもらうようにすると、騒音によるトラブルを避けることができます。
手間や効率を考えると高圧洗浄機は必要な機械ですが、人にケガをさせてしまうくらい威力が強いものもあります。実際に高圧洗浄の水で死亡事故が発生したり、傷害罪が発生したケースもあるので、使用する際は注意しましょう。
クラック補修
・クラックとは
塗装してから時間が経過すると、クラック(ひび割れ)が発生します。クラックの多くは、モルタル壁や鉄筋コンクリート壁に出来ることがほとんどなのですが、サイディング壁にも発生します。クラックの主な原因は、塗膜の劣化や地震、乾燥、家を建てた時の欠陥や設計ミスなどが考えられます。
また、クラックには2種類あり、髪の毛ほどの細いひび割れを指す「ヘアークラック」と、名刺などの厚さのものがすんなり入る「クラック」にわけられます。ヘアークラックは、塗膜に生じている場合がほとんどで早急な補修は必要ありませんが、クラックは外壁の致命的なところまで届いている可能性があるので早めの対処が必要です。
外壁のクラックの状態が進行すると、建物の寿命を短くすることに繋がるので、クラックを軽いもの、と見ない方がよいでしょう。だからといって、即日対応しなければいけないという訳ではありませんので、クラックを理由に訪問業者から契約を急かされている場合は注意が必要です。
・クラックを放置するとどうなるのか
クラックの状態が進行してしまうと、建物にさまざまな影響がおこります。
①雨漏り
クラックから建物の中に、雨水が入ってしまい雨漏りを引き起こします。サイディング壁やモルタル壁の中には、壁が薄く雨漏りが起きやすいものもあります。
②鉄筋コンクリート造の爆裂
鉄筋コンクリート造の建物は、クラックが発生すると内部の鉄筋へ影響を与えます。雨水などが鉄筋に触れるとサビが出て、鉄筋の効力がなくなってしまうのです。鉄筋コンクリート造は強靭な強さがありますが、鉄筋の効力が失われるとコンクリートの圧縮の力のみしか発揮出来なくなります。さらに、鉄筋コンクリートの内部に水が入っていくと、水分が膨張し、鉄筋コンクリートが破壊されていきます。
・補修方法
シーリング材が均一になり密着しやすくなるように、クラック部分を電動工具でVカットまたはUカットにし、シーリングを注入します。これをカットシーリング工法と言います。業者によりますが、Vカットだと奥までシーリングが届かないため、弊社ではUカットでシーリングを注入しています。
注入したらカチオンタイトというセメント材でそのシーリングを固め、クラック部分が乾燥しているのを確認してから、プライマーを塗ります。
この時使用するシーリング材は上から塗装ができる種類が使われますが、シリコン系などのシーリング材は、上から塗装すると可塑剤(かそざい)がじんわり出てきて、シーリングでせっかく施工した場所が汚れてしまうので注意が必要です。
シーリング補修
・シーリングとは
シーリングとは外壁材と外壁材のつなぎ目の部分を指し、主にサイディングの外壁やALCの外壁などに見られ、コーキングとも呼ばれています。建物は建物全体の歪みやボードの伸縮によって日々微かに動いているため、つなぎ目となるシーリングはそのボードの動きに追随し、揺れを緩和させる役割を持つため柔軟性が必要です。
シーリングの劣化は、シーリング材に含まれる可塑剤(かそざい)が原因にあげられます。可塑剤は長年紫外線を浴びると、気化して外に放出され、年々柔軟性がなくなっていくことで、ひび割れを起こしてしまいます。さらに、そこから雨水が浸入すると雨漏りが発生する恐れもあります。
・補修方法
シーリング補修では、一般的にポリウレタン系や変成シリコン系を使用します。これは、外壁の目地やひび割れのほかに屋根や窓枠などにも使われます。耐久年数は環境によっても大きく変わりますが、一般的には10~15年と言われています。
さらに、シーリング材には1液タイプと2液タイプの2種類に分けられます。ホームセンターなどでよくみられるシーリング材は1液タイプで、一般的には初心者向けとして販売されていますが、こちらを使用する業者も中にはいるようです。2液タイプは、よく業者が使用するシーリング材で硬化剤を混ぜて使用します。これがきちんと混ざっていないと施工不良の原因になります。
シーリングの補修は「打ち替え」と「打ち増し」があり、打ち替えは既にあるシーリングを外し、新しいシーリング材を補填していくもので、打ち増しは既にあるシーリング材の上から新しいシーリングを重鎮する方法です。打ち増しの場合、既存のシーリングとの相性が悪いとすぐに剥がれを起こすので、補修する際は注意が必要です。
シーリング補修は、ホームセンターでも道具が揃うので自分でも出来てしまいそうですが、打ち方が悪いとすぐに劣化してしまい、さらに繰り返し打ち直すことで結果的に費用もかかります。基本的には、業者に依頼するほうがよいでしょう。
ケレン
・ケレンとは
ケレン作業は屋根の板金・金属の手すり・鼻隠しなどの付帯部分のサビを取るために行われ、その他にもサイディングや木材などの表面を滑らかにするためにも行われます。
ケレン作業の目的は、
①塗料を長持ちさせる
②塗料を密着させる
③美観を美しくする
ということがあげられます。
どんなに優れた塗料を使っても、ケレン作業がおろそかになるとせっかくの外壁塗装も長持ちしません。悪徳業者に省かれやすい工事にもなるので「ケレン」という作業が施工内容に入っているか、見積もりの中に入っているかを必ず確認しましょう。
・使用する道具
ケレン作業はそのときの状況で使われる道具が異なり、電動工具の場合、ディスクサンダー・サンダーが使用されます。これは刃の部分を付け替えて、自在に使い方を変更できるものです。
手作業で行うケレン作業の場合に最も多く使われるのが「紙ヤスリ」で、研磨紙やサンドペーパーとも呼ばれています。小さな凹凸補修や、規模の小さい塗膜やサビを落としたり、表面の仕上げにも使用されます。
さらに「ケレンハンマー」という、特殊な形状のハンマーも使用して、細い部分の汚れや塗膜などを取り除き、角状の方で汚れを一気に落とします。他に塗装やサビを剥がす作業に使われる「スクレパー」、サイディングの目地のシーリング材を取る「皮すき」、紙ヤスリで処理できない隙間や凹凸の部分には「ワイヤーブラシ」が使用されます。
目止め
・目止め(めどめ)とは
目止めとは、目止め剤を使用してひび割れを埋めたり、表面を滑らかにする下地処理のことで、塗装した面が下塗り材の過剰な吸い込みを防いだり、塗料の密着性を高めることができます。目止め剤には、水溶性をもつものや、油分に強いものなど色々な種類があります。
では実際に目止めを行う注意点は何でしょうか。
まずは、現在の劣化具合、下地の種類、下地の厚みがどれくらいかを確認します。理由は、塗装面の材質によっては塗料の吸い込みが激しく、下塗りの意味がなくなってしまう可能性があり、色ムラの原因にもなるからです。特に、リシン壁は吸い込みが激しいのでしっかり目止めをしておくのが重要です。
下地処理を行わないと起こる症状
ひび割れ(クラック)
原因は塗膜が劣化したことはもちろん、塗装作業が不十分なことも考えられます。作業中に、きちんと乾燥されていないまま上塗りしたり、塗膜の上に硬い性質のものを塗っているとヘアークラックが起こりやすいと言われています。
外壁材に起こるクラックには、症状が軽く浅いものから重く深いものがあり、モルタルの乾燥が原因でできるひび割れ(乾燥クラック)、建物の欠陥や歪みで生じるひび割れ(構造クラック)、塗装作業が中断または後から追加したことで起きるひび割れ(縁切りクラック)があります。
塗膜の剥離
塗膜の剥離の原因はさまざまな事が考えれます。
・下地処理をしていない
高圧洗浄やケレンなどの処理が不十分だと、塗料が密着せず剥がれやすくなります。
・下塗りをしていない
上塗りだけでは塗料が密着しづらく剥がれやすくなります。見た目では分かりづらいですが、実は下塗りをしていないという業者もいるので、金額だけで見積もりを判断しないようにしましょう。
・乾燥時間を守っていない
塗料を塗った後、乾燥していないのに塗装したり、無理やり乾燥時間を早めたりした可能性があります。
・汚れがきちんと落ちていない
高圧洗浄をきちんとしていないため、古い塗膜が落ちていなかったり、表面に油分、カビ、埃、水分などが残っていたまま塗装している可能性があります。
・塗料の不備があった
①水性塗料を薄めて使った
②外壁材が塗料に合っていない
③最低塗布量を守っていない
④下地に適していない塗料を使用した
・温度や天候管理をしなかった
雨天の場合にも作業したり、温度や湿度を守らずに施工してしまった可能性があります。
塗膜の膨れ
塗装の膨れの原因はいくつかありますが、主に経年劣化と施工不良があげられます。
・経年劣化が原因
年数が経つと塗膜の劣化や外壁にひびが入って雨水が浸入し、下地と塗膜の間に水が溜まる場合があり、放っておくと建物の中にも雨水が浸入して雨漏りが発生します。
また、外壁材や仕上げ塗料の中に水が溜まることで、急激に温度が上がった時にそれが水蒸気に変わり、柔らかくなった塗膜を内側の水分が押し上げ、膨れを発生させます。
・施工不良が原因
高圧洗浄が不十分で塗装を何度も重ねると、重なった層にカビが発生してしまい、塗膜が膨れてしまいます。他にも、下地を塗った後に乾燥が不十分で上塗りをしたり、凹凸のある壁を塗装したときに、隙間に空気や水蒸気が残ったままにしてしまうと、気温が高い夏場に膨張することも考えられます。
まとめ
外壁塗装は下地処理がされていないと、どんなに高級で高性能な塗料を塗っても本来の効果は発揮されず、初期不良に繋がる可能性もあります。外壁材や劣化の状況によっても下地処理の仕方は違いますが、どんな形であってもきちんと下地処理を行うことが大切です。
ただし、いくらこちら下地処理の大切さを理解しても、施工業者がしっかり作業してくれないと意味がありませんので、業者選びの理由の1つとして下地処理をしっかりしてくれる業者を選びましょう。