外壁・屋根塗装のDIYをやってはいけない理由
家のメンテナンスを自分自身で行うのはオススメできません!
私たちが定期的に健康診断などで病院へ行き、メンテナンスを行うように、家もどんなに大事に住んでいても、どうしてもメンテナンスが必要になってきます。
家の場合は、使っている建築材料や素材自体の耐用年数がある程度決まっており、適したタイミングで点検や補修を行う事で、大事な家をより良い状態に維持でき、長く住み続けることができるようになります。
ただし、家のメンテナンスを自分自身で行うのはオススメできません。このページではDIYの注意点とプロに頼む必要性について紹介します。
外壁塗装のDIYをおすすめできない理由
海外ドラマ等で、「今度子供が生まれるから、それに向けて色々塗って試してるんだ」等、内装の塗装を自分たちで行っている場面があったりしますね。それに憧れてDIYをしたいと考える方もいるかと思います。
内装を塗り替えたり、ちょっとした小物や棚を塗り替える場合は問題が起こりにくいですが、外壁塗装は様々な外的要因を受けやすく、さらに家の耐久性を維持するための手順が多いので、特に注意が必要です。
作業の危険性
最も注意すべきなのは、足場からの落下や屋根から滑り落ちて怪我をする可能性がある点です。
雪かきなどで毎年足を滑らせ怪我をする方が多いですが、屋根・外壁塗装の場合「雪が降らない時期だから大丈夫」という事はありません。コケが生えていたり、破損している箇所があったり、初心者が行うには危険な箇所が複数あります。
他のお家を塗装している職人さんを見ると、いとも簡単に行っているように見えるかもしれませんが、職人さんは気を付けなければいけないポイントや、足場の使い方をしっかりと熟知しています。腕のいい職人さんほど、難なく行っているように見えますが、初心者が同じようにできることは、まずないです。
専門である塗装職人ですら、500件以上転落等の事故が起こっているため、初心者の場合はより事故のリスクが高まります。
耐久性の低下
経験のない方が塗装すると技術の不足によって、塗料の性能を十分に発揮できず、それどころか状況を悪化させる可能性があります。
例えば、事前の洗浄が不十分で塗料と屋根・外壁の間にゴミやコケが残ると、剥がれや浮きの原因になり、コーキング施工技術が不足していると、隙間から壁の内側に水が浸入し雨漏りにつながる可能性があります。さらに、塗りムラが起こったり、下塗り・塗布量が不足していたために、本来の耐久性が発揮できず、長い目で見ると結果的に費用がかかります。
また、市販の塗料は一般の人でも塗りやすいように、1液水性タイプが使用されており、プロが使用する塗料と比べると、耐久性が劣る可能性があります。
アマゾン等のネット通販では、プロが使用する塗料を購入することができますが、各メーカーによって、塗料性能を発揮するための基準塗布量というものが決まっているため、初心者の方は決まった厚みで塗る事が難しく、塗装が長持ちしない可能性があります。
作業時間が長くなる
どんな専門作業でもそうですが、プロが行うのと、初心者が行うのではかかる作業時間が圧倒的に違います。家を一軒塗装するには「洗浄」→「養生」→「下地処理(ここにはコーキング、ヒビ補修等細かい修繕作業が含まれます)」→「下塗り」→「中塗り」→「上塗り」と多くの工程があります。
プロに任せれば、天候に恵まれた場合10~14日程度で終わりますが、これを一人で働きながら行った場合、土日等の休日を利用したり、休みを返上して朝から晩まで作業しても45~60日かかります。
最初は楽しいと思うかもしれませんが、平日は仕事に行き、疲れがたまっている中、休日は朝から日が落ちるまで塗装作業を行うのは困難です。最初は喜んで手伝ってくれていた家族が段々手伝ってくれなくなったりする事も…
肉体的・精神的疲労などを考慮し、費用対効果を考えると最初から最後まで、プロに任せた方がいいのでは?と思いませんか。
また、「途中まで塗ったけど、やっぱり塗りきることができない」となっても、なかなかそこから引き受けてくれる業者は見つかりません。なぜなら、初心者が塗ったものを手直ししても、1年後、2年後、と後々問題が起こる可能性が高いからです。
仮に、引き受けてくれたとしても、普通に最初から塗装を依頼するより、余計に費用が掛かる場合がほとんどではないでしょうか。更に、後々問題が起こる可能性が高いため、塗装に関する保証が受けられないことも考えられます。
外壁塗装をDIYで行った場合の試算
自分で塗装を行う場合、事前に用意するものが多数あります。
洗浄
塗装する前に、「高圧洗浄」を行います。高圧洗浄を行う理由は、以前の記事でご案内していますので、こちらも参考にしてください。
方法としては、家庭用の高圧洗浄機を購入し、機械を利用して洗浄を行う方法と、バケツとブラシで手作業にて汚れを落とす方法があります。
・高圧洗浄機を購入する場合:10,000~20,000円
・バケツとブラシ:1,000円前後
※ここで気を付けてもらいたいのが、利用している建材によって、高圧洗浄の出力を調整したりしなければならない事です。プロは建材によって高圧洗浄の出力や水の当て方等を調整し洗浄を行っています。調整がうまくできない初心者が行うと、建材自体を痛める可能性があります。
足場
・個人で足場屋さんに依頼し、足場を立ててもらう
1.個人で依頼する場合:月25万円前後
・ハシゴや脚立を使う
1.ハシゴ:5,000~15,000円
2.脚立:5,000~10,000円
養生
養生は、塗装しない箇所を保護するために使います。例えば、道路と壁の境目は綺麗に塗装されていると、仕上がりも違って見えるので、養生を雑にしてしまうと出来栄えに影響してきます。
・マスカー(マスキングテープと養生シートが1つになったもの)
1.幅300mmx長さ25mm:180円前後×必要な個数
2.幅1800mmx長さ12.5mm:230円前後×必要な個数
・テーププライマ:1,000円×必要な個数
(コンクリートなどのテープが付着しにくい面にマスキングテープを付着させるプライマー)
・ラスタ:150~500円×必要な個数
(細かい箇所のホコリなど取り除くときに使う小さい刷)
・ガムテープ:100円×必要な個数
塗料
塗料は耐久年数を決める重要なポイントになり、種類はウレタン、シリコン、フッ素等があります。
・下塗り塗料(シーラー・フィラー):4,000~11,000円前後(15kg)
・中、上塗り塗料:グレードや商品により価格がバラバラ
※下塗りは、中塗り上塗りの付着をよくするためもので、これを塗る事で耐久性を高めます。下塗り→中塗り→上塗りと行う工程の、1回目になります。ホームセンターで売っている上塗り塗料の中には、この下塗り塗料が不要なタイプも存在しますが、耐久年数が他と比べて悪くなる可能性があります。
塗るための道具
・ローラーバケットセット:約3,000円
(缶から直接ではなく、一度このバケットに塗料を入れ、ローラーに塗料を付けて塗ります。器としてだけではなく、網目状のネットが付いており、ローラーにつきすぎた塗料を落とすこともできます。)
・刷毛:200~500円
(ローラーでは塗れない、塗り漏れてしまう場所など、細かいところに使用する道具)
・ローラー:700~1,000円
(平らな壁や屋根等、広い面積を塗る道具)
・サンドペーパー:150円
(鉄部のケレンに使うヤスリ。ケレンとは塗料が定着しにくい鉄部表面に傷を付ける作業で、塗料の付着をよくしたり、錆を落とすために行います。)
・コーキング材:200~700円(300ml)
(サイディングの目地部分や、窓の枠部分等に使われるゴム状の材料。簡単なヒビ割れ等の補修にも使われます。)
・バックアップ材、ボンドブレイカー
(コーキング材の伸縮力が生かされず、負担が大きくなってしまう3面接着を防ぐための道具。溝が深い目地の場合はバックアップ材を使い、溝が浅い場合はボンドブレイカーを使います。)
外壁塗装DIYで行うメリット
オススメしない理由を上記で並べさせてもらいましたが、デメリットばかりではありません。
プロに塗装を頼むと、費用が100万円を超えるケースもありますが、どうしても費用面を節約したい方で、ある程度時間を確保できる場合は、一つの手段としてDIYを検討してもいいかもしれません。
「趣味の一環としてゆっくりと塗って楽しみたい」、「耐久性や費用ではなく、思い出の一つとして残したい」という方にはオススメです。「自分で塗った」という思い出も残りますし、達成感や愛着もDIYを行う魅力の一つと言えるでしょう。
まとめ
DIYをオススメしない理由をメインに書かせて頂きました。
いかがだったでしょうか?否定的な文章が続きましたが、最後に記載した、メリットもあるので、ご自分の状況や重視することによって、検討してみるといいかもしれません。
検討する際に忘れないで頂きたいのは下記の条件です。
・怪我をするリスク
・足場を個人で依頼する際の価格
・初心者が行う事による施工不良
・作業時間の長さと費用対効果
・耐久性の低下、雨漏りの危険性
・プロに再依頼した際の問題点
・場合によってはプロに頼むより費用がかさむ場合がある