外壁塗装の養生(ようじょう)の費用・相場について
外壁塗装での養生は、塗装する場所以外に塗料がつかないようにする為、家をビニールシートやメッシュシートで覆うことです。
養生といえば、引っ越しのときに体験したり目にしたという人が多いのではないかと思いますが、外壁塗装においても養生が必要となります。
引っ越し作業での養生は建物に傷がつかないよう段ボールを敷いたり、柱に布を巻きつけたりすることですが、外壁塗装での養生は塗装する場所以外に塗料がつかないようにする為、家をビニールシートやメッシュシートで覆うことです。
外壁塗装を失敗しないために不可欠な作業である養生とは何か、を説明していきます。
養生とは
外壁塗装における養生の役割は、大きく2つあります。
1つは、塗料の飛び散りを防ぐこと。塗料は液体なので、塗装の過程で飛び散ったり垂れ落ちたりすることがあります。また塗らなくてよい部分まで塗ってしまうことも考えられます。外壁塗装は建物の美観を改善するために行われるものであるため、塗装の過程で外壁が汚れてしまっては元も子もありません。
2つめは、見栄えよくきれいに仕上げること。外壁塗装においては窓枠との境界部がきれいにまっすぐ施されていると、見栄えがとても良くなります。養生テープと呼ばれる特殊なテープを窓枠などに沿ってきれいに貼って養生することで塗装の出来栄えが格段によくなります。
このように外壁塗装に欠かせない養生ですが、その方法としては、次の3つの方法が採用されています。
・周りの家に高圧洗浄の水や塗料が飛び散らないように家をメッシュシートで囲うこと
・「アルミサッシや窓、床など塗らない部分にビニールやテープ、マスカーなどで保護すること
・車や植木など塗料が付くと困る部分をシートで保護すること
もし、足場の養生(メッシューシート)を雑に行ったまま塗装をすると、高圧洗浄の水や塗料が飛び散り隣人とトラブルになる可能性もあります。また、隣人とのトラブル以外にも、しっかり養生をしないと塗装した場所がにじんでしまい汚い仕上がりになってしまいます。
いろいろな場所に養生をすることで、施主様や隣人の私物を塗料の汚れから守り、トラブルを未然に防ぐことにつながるのです。
養生の価格相場
塗装業者によって費用の計算方法は違いますが、基本的に外壁の面積で計算されることが多い工程です。一般的な住宅の場合、養生代の平均費用は以下の通りです。
養生代の平均費用:300~500円/m2
外壁の平米数 | 費用 |
---|---|
100m2 | 30,000円~50,000円 |
110m2 | 33,000円~55,000円 |
120m2 | 36,000円~60,000円 |
130m2 | 39,000円~65,000円 |
140m2 | 42,000円~70,000円 |
150m2 | 45,000円~75,000円 |
上記の表は幅を持っていますが、平米数に応じて大体の金額を把握することができます。また、飛散防止ネットや養生テープなど、養生にかかる項目ごとに費用がかかるケースもあります。
ただ、養生の費用相場は養生する場所に大きく左右されます。車や植木、盆栽なども養生をお願いするとなれば塗装業者との最初の契約の段階で依頼しておくべきです。
見積には以下のような記載をされることが多いです。
・家を囲う養生は足場の欄にメッシュシート養生として(単価約100~150円/m2)
・窓枠などの養生は諸経費の欄に一式として
養生の価格相場
施工者が養生を施す際、用途に合わせて多彩な養生道具を使い分けます。
■養生用ポリシート
ポリエチレンで作られた透明なビニールシートで、窓などに塗料が付かないようにするシートです。窓枠全体をビニールで覆った後、窓枠を縁取るようにマスキングテープで留めます。普通のビニールと違い、塗料が付いた状態で乾いても落ちにくく周囲が汚れるのを防止できます。
■マスキングテープ
養生用ポリシートを貼るときに使う粘着力の弱いテープです。粘着力が強いと塗装後に剥がすときに汚れになってしまうため、弱いテープを使います。
■テーププライマー
マスキングテープは粘着力が弱いので、養生する箇所によっては密着が悪く貼り付かないことがあります。そのような箇所で、密着性をよくするために使うのがテーププライマーです。脆弱コンクリート面やアスファルト面、凸凹した面などで使います。時間が経てば綺麗に剥がせます。
■マスカー(コロナマスカー)
・通常タイプ
養生用ポリシートとマスキングテープが合わさった便利アイテムです。マスキングテープのように貼るだけで、「貼る+覆う」という作業が同時にできます。とても便利なものですが、価格が高く、特にサイズが大きくなると非常に高価になるため、建物に合わせて使い分けが必要です。マンションや団地など窓が大きくサイズが統一されているような建物は、ポリシートとマスキングテープの方が早く、材料費も安くあがります。
・ノンスリップタイプ
マスカーに「滑り止め機能」がついたタイプのものです。床や屋根の養生に使用し、滑りにくくする効果があります。玄関周りやベランダなどで使用し、施工者の足元の保全の為に使用します。
■ブルーシート
床の汚れを防ぐために使用します。ブルーシートはノンスリップマスカーに比べ安く、また長尺かつ幅広タイプのものが多いため、広範囲の養生を必要とする際に利用します。
■室外機専用シート
エアコンの室外機や給湯器、排気設備などに使用します。通気性が良く、排気できず一酸化炭素中毒になる危険性を防ぎます。
■カーカバー
カーカバーは、車やバイクを丸ごと1台養生するのに使うカバーです。ビニールタイプのものが一般的ですが、風で飛ばされにくく擦り傷が付きにくい不織布製タイプもあります。
■飛散防止ネット
飛散防止ネットとは、工事中の住宅やマンションを覆っているメッシュ状のネットを言います。高圧洗浄の水や塗料の飛散を防ぎます。通気性を持ちながら、風の影響も考慮してあるのが特徴です。
養生の注意点
養生は近隣に対する塗料の飛散を防止するための対策として考えられがちですが、施主様自身の家に対しても必要です。施主様の家の「塗装をしない箇所すべて」に養生は必要です。
養生のポイントとして下記の点を確認しておきましょう。
■ベランダ、窓枠
塗装によって窓ガラスや家の中の家具・家財などが被害を受けることもあります。ベランダや窓枠には塗料が室内に侵入しないようにするための養生が必要です。工事の期間が夏場である場合は、窓が開けられないと息苦しさを感じることもあるでしょう。その場合は塗装業者の方に相談してみるとよいでしょう。
■エアコン室外機
エアコンの使用は業者次第です。室外機に特殊なメッシュシートをかぶせて、塗料や臭いの浸入を軽減させることも可能です。施主の私物を塗料の汚れから守り、尚且つ日常生活に配慮した養生を業者と相談しておくとよいでしょう。
■マイカー、植木
全体を覆うための養生が必要です。車専用の養生シートは簡単に取り外しができるようになっており、外出時は素早く養生シートを外して車が利用できます。
■洗濯物
当然ながら洗濯物は外に干すことができないため、外壁塗装の工期中は部屋の中に干すか、コインランドリーの使用を検討することをおすすめします。
まとめ
養生は施工者の安全確保をはじめ、室内や近隣への塗料の飛散を食い止める重要な作業です。
塗装のように技術を伴う作業ではありませんが、塗料の飛散を想定したり、施主側の生活スタイルに配慮したりするなど、施工をスムーズに進めるうえで欠かせない下準備です。
外壁塗装を依頼する際は、養生についても把握しておき、事前に塗装業者と相談をしておくことがとても大切です。塗装内容だけではなく養生についても知るために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。