実は塗装業にもある資格や許可書について解説
塗装業の資格は信頼の目安になります!
ご存知ない方が多いのですが、塗装業を営業するにあたって、実は資格も許可も必要がないんです。「塗装店です!」と名乗れば営業できてしまうため、悪徳業者が存在する原因の一つとなっています。
そんな塗装業ですが、実は国家資格などもあります。その中でも、特に一級塗装技能士と県知事許可書を持っている業者は信頼度が高くなります。もちろん、私も一級塗装技能士を持っています。
このページでは、塗装業に関する資格や許可書にはどのようなものがあるのか?について説明していきます。
一級塗装技能士と県知事許可書が重要
数ある資格や許可書の中でも、最も重要なのは”一級塗装技能士”と”県知事の許可書”です。特に、代表が一級塗装技能士の資格を持っていると、しっかりした塗装店のことが多いです。
■一級塗装技能士とは?
厚生労働大臣認定が認定する、年に一度行われる難易度の高い国家資格で、塗装業で7年の実務経験がある、もしくは二級塗装技能士になってから5年経つと、受講資格が与えられます。
試験の合格率は50%前後となり、塗装に関する知識や技術を証明する試験です。
■県知事許可書とは?
県知事許可書は、会社に与えられる許可書です。この許可書の取得には条件があり
・不正、または不誠実な行為をする恐れが明らかな者ではないこと
・5年以上の経営経験
・自己資本が500万円以上
などがあり「不正行為を行う恐れがなく、ある程度の経営を続けている会社」にのみ与えられるものとなります。
一級塗装技能士の資格がない=ダメな職人ではない
施工する職人が、一級塗装技能士の資格を持っていることが理想です。しかし、試験を受けるには厳しい条件があり、さらに取得するにも受講生の半分が落ちる試験なので、全て職人が一級技能士の会社はほぼありません。
実は、資格を持ってない職人でも腕のいい職人はたくさんいます。社長自らが一級塗装技能士を持っていれば、職人の採用をするときに資格あるなしに関わらず、腕のある職人を見抜けるので問題ありません。
問題なのは、社長が一級塗装技能士の資格を持っていなく、さらに塗装の知識もないような会社です。このような会社は、施工するときに下請けや孫請けの職人に依頼しますが、その下請けの技術力をわからないまま依頼していることがあります。
運よく資格を保有した下請け業者に当たれば良いですが、資格保有をしていない業者に当たった場合、目も当てられない事態になる可能性があります。
このような会社に依頼してしまわないためにも社長や現場の管理者が一級塗装技能士を保有している会社を選ぶことをオススメします。
塗装業の許可書・国家資格一覧
■県知事許可書(認定:都道府県知事)
「不正行為を行う恐れがなく、ある程度の経営を続けている会社」にのみ与えられる許可書。支店を出す際に、都道府県をまたいで事務所を登記する場合は、国土交通大臣の許可になり、審査もより厳しくなります。
●取得条件
・10年以上の塗装業実績
・5年ごとの更新をクリアしている
■一級塗装技能士(認定:厚生労働大臣認定の国家資格)
実務経験7年以上、または二級合格から2年以上の実務経験があることで、受講資格を取得できる資格です。実技と学科の試験をクリアする必要があります。(合格率は50%前後)
■二級塗装技能士(認定:都道府県知事)
職業訓練校に通う、または塗装業で2年の実務経験があることで、受講資格を取得できる資格です。取得には、実技と学科の試験をクリアする必要があります。
■職業訓練指導員(認定:都道府県知事)
資格ではありませんが、指導員は、一級塗装技能士の上位免許のようなものです。この免許を持っている人は、職業訓練校で技能士などの育成を行う講師となれます。塗装業で15年以上の実務経験、もしくは一級塗装技能士の資格を持っていると受講資格を取得できます。
■有機溶剤作業主任者(厚生労働省/認定:建設業労働災害防止協会)
有機溶剤による身体的な被害防止の指揮・監督を行う資格です。塗装業の場合塗装工事のなかで、油性塗料でシンナーやラッカーを扱うため、労働基準法で必要と定められています。講習を受ければ取得可能な資格です。
■特定化学物作業主任(認定:厚生労働省)
特定化学物質による汚染から作業員を守るための監督等を行える資格です。
■高所作業車運転者(認定:厚生労働省)
高所作業車を運転することができる資格です。
■一級施工管理技士(認定:国土交通省)
建設業法第27条の2に基づき実施されている資格。大規模工事において、施工計画、工程管理、品質管理、安全管理に重点を置く資格です。これらの管理・計画を行うのが、施工管理技士と呼ばれます。
■二級施工管理技士(認定:国土交通省)
建設業法第27条の2に基づき実施されている資格。施工計画、工程管理、品質管理、安全管理に重点を置く資格です。これらの管理・計画を行うのが、施工管理技士と呼ばれます。
■乙4種危険物取扱者(認定:都道府県知事)
消防法、引火性液体(ガソリン、灯油、軽油、エタノールなど)を扱う事ができる資格です。
塗装業の民間資格一覧
■外壁診断士(認定:一般社団法人全国住宅外壁診断士協会)
実務経験5年以上で受講資格を取得できる資格です。
■外装劣化診断士(認定:一般社団法人住宅保全推進協会)
実務経験などがなくても受講できる資格です。
■リウォール診断士(認定:日本ペイント)
日本ペイント塗料であるダイヤモンドコートの認定施工店にのみ発行される資格です。
■窯業サイディング塗替診断士(認定:木造住宅塗装リフォーム協会)
窯業サイディングに関する知識を持っていることを証明する資格。
■職長・安全衛生責任者教育(認定:一般社団法人東京技術協会)
労働安全衛生法第60条で、安全又は衛生のための教育を受講することが義務付けられており、新たに職務に就く職長、又は作業を直接指揮・監督する方は、受講必須となっています。
■足場の組立て等作業主任者(認定:一般社団法人労働技術講習協会)
足場から自社で組み立てる場合は必須の資格です。ただし、塗装店は足場を自社で組み立てない場合が多いので、持っていないことも多いです。
■ゴンドラ特別教育(認定:一般社団法人労働技術講習協会)
ゴンドラは、高所における清掃、塗装溶接、組立などの作業に使用されます。ゴンドラとは、つり足場及び昇降装置、その他の装置、並びにこれらに付属する物により構成され、作業床が専用の昇降装置により上昇、または下降する設備をいいます。
■自由研削といし特別教育(認定:一般社団法人労働技術講習協会)
電動サンダーなどの、砥石部分を替えたりするために受講が必要となります。
■石綿作業主任者(認定:公益社団法人東京労働基準協力連合会)
アスベスト使用の建物解体等の作業に関わる業務を、安全に行うための資格です。
■マスチック仕上士、マスチック仕上性能管理(認定:全国マスチック事業協同組合連合会)
マスチックの組合員により、責任施工を行うために必要な工法特許になります。マスチック塗材ローラ工法は、建物の内外壁を多孔質のハンドローラにより1段塗りで厚膜に仕上げる長期耐久性に優れた省力化ローラ工法です。
■カラーコーディネーター2級(認定:東京商工会議所)
色に関する知識を持っていることを証明する資格です。内容は多岐にわたりますが、塗装の場合は、外壁や屋根、付帯部分の色選びのお手伝いを、より専門的視点から行う事ができます。
■雨漏り診断士(認定:NPO法人雨漏り診断士協会)
定期的な講習会も行っており、雨漏りに関する知識を持っていることを証明する資格です。
■雨漏り鑑定士(認定:一般社団法人 雨漏り鑑定士協会)
雨漏りに関する知識を持っていることを証明する資格です。
まとめ
いかがだったでしょうか?資格がある、ないでは安心感・信頼感が変わってくると思います。ただ、それで安心してはいけません。気を付けていただきたいのは「資格を持っています!」と謳っているにも関わらず、実は下請け業者が持っている資格を、さも自社で保有しているかのようにふるまっている場合です。
そのため、その資格を所有しているのが誰なのか?社内の人間なのか?下請けの人間なのか?をしっかりと確認することをオススメします。
社長が一級塗装技能士の資格を持っているのは最低限として、現場の管理を行う職長が持っているとより安心です。職人全員が一級塗装技能士の資格を持っているのが理想ですが、現実はそうはいきません。
最低限、社長が一級塗装技能士の資格を持っているのか?さらに、職長が一級塗装技能士の資格を持っている会社を目安に、お見積りを複数社依頼するようにしましょう。