ウレタン塗料の特徴と代表的な商品
ウレタン塗料は、耐久性やが低くコストパフォーマンスが悪い欠点があります。
そのため、外壁や屋根、付帯塗装部位などの外部にオススメできません。
ただし、光沢と密着性の良さが他の塗料と比べて優れているため、部分的な塗装や定期的に塗装が必要な店舗などには向いています。
特にオススメできるのが、木部塗装の着色やニス、フロアーコーティングです。家具や室内のテーブルや床のコーティング塗装では、新築やリフォーム時にお勧めです。
ウレタン塗料はどんな塗料なのか?
ウレタン樹脂は、ポリオール成分とイソシアネート成分が混ざってできた化合物です。高い密着性、高い反発弾性があり、繊維やフィルム、金属接着といった幅広い分野で利用されています。建築物では、屋上防水、シーリング材、塗料と幅広く使用されています。
ウレタン塗料には、大きく分けると水性と油性タイプがあります。シリコン等の新しい塗料では、水性も油性も耐久性は差ほど変わらなくなってきていますが、ウレタン塗料は水性のほうが耐久性が低いです。
また、ウレタン塗料は、1液(空気と湿気で乾燥する)と、2液型(硬化剤を混合して固める)があり、シリコン等だと耐久性に影響はありませんが、ウレタン樹脂塗料は1液より2液型の方が耐久性も価格も圧倒的に高いです。
次にウレタン樹脂の中では大きくウレタンとポリウレタンに分かれます。
●ポリウレタン
ウレタン樹脂塗料は、主剤として複数の水酸基を持つ樹脂(ポリオール)と硬化剤としてのポリイソシアネートを組み合わせた塗料の総称で、使用するポリオールとポリイソシアネートの組み合わせ次第で、さまざまな特徴を示します。塗料としては耐候性が求められる上塗りとしてよく用いられます。また、一液湿気硬化型の下塗りや低温硬化型塗料としても用いられます。
●アクリルウレタン
ウレタン樹脂塗料の中でも、アクリルポリオールを主剤とするものが現在の主流となっており、アクリルウレタン塗料と呼びます。硬化剤としては、無黄変性である脂肪族系のポリイソシアネートが使用され、耐候性、塗膜性能、仕上がり外観に優れています。
■ウレタン塗料の特徴1.密着性や柔軟性が高いくヒビ割れるに強い
外壁材がコンクリートやモルタルなどの場合、ヒビ割れが発生しますが、ウレタン塗料は、密着性が良く柔軟性もあるので、ヒビ割れが生じても塗装表面にまで波及せず、塗膜の防水性を維持してくれます。このメリットから、今でもあえてウレタン塗料が使われることもあります。
また、防水材、シーリング材でも多く使用されており、住宅塗装においても使用されることも多いです。
■ウレタン塗料の特徴2.材料費が安いが耐久年数が低い
ウレタン塗料は、シリコン、フッ素などに比べると安価な塗料になります。
ただし、ウレタン塗料は紫外線の影響を受けやすく、変色しやすい塗料です。塗料のグレードの中でも下から2番目の耐久性で、一般的には8年以下といわれています。
光沢保持率も、シリコン塗料と比べて2割程度下がってしまいます。また、特徴的なのが退色。チョーキングも発生しやすく、外壁や屋根の塗装にはあまりオススメできません。
内装の木部のニス仕上げや、床のコーティングには適しているので、安く高級感のある光沢で仕上げることができます。
また、店舗等の定期的に塗装が必要とされる場所ではコスト面から見ても安くキレイに仕上げることが出来る魅力ある塗料です。
■ウレタン塗料の特徴3.扱いにくい
ウレタン樹脂は、水や湿気との相性が悪く、塗装時や乾燥時の湿度が高いと、水と硬化剤が反応し塗膜の機能が落ちてしまうことが考あります。夏場、冬場での施工のしやすさが変わり、天候や気温によって左右されるので、作業性は悪いです。
また、2液型のウレタン塗料は、攪拌や主剤と硬化剤の分量が正確でない硬化不良が起きてしまいます。 知識と経験豊かな職人でなければ、見極めが難しいです。
硬化剤の中に含まれるイソシアネートという効果成分は、空気中の水分と反応する事で作用を発揮するので、時間が経った古い硬化剤を使うと不具合が起きてしまい、保管や管理面も気を付ける必要があります。
■ウレタン塗料の特徴4.油性の場合は艶の調整が難しい
ウレタン塗料は、艷調整が難しい塗料で、光沢を出す際にはいいのですが、逆に光沢を抑えたいときには難しい塗料です。
特に油性の場合は、塗り重ねによって艶が増すので、3部艶を選んだ場合に中塗りや上塗りを塗ると2回塗りになってしまい思っていたよりも艶が出てしまうことがあります。
クリアー塗装でも、正確に3部艶にしたい場合は、中塗りにツヤあり塗装をし、仕上げの上塗りで3部艶を塗装するといった複雑な工程が必要になります。材料代金と作業性の面で負担が大きくなります。
■ウレタン塗料の特徴5.汚れやすい
ウレタン塗料は、防汚性にも弱く汚れやすい塗料です。特に弾性塗料は、塗膜が柔らかいため、汚れが付着しやすく汚れが目立ちます。
軒の出幅が少ないケースや屋上型の建物では庇、屋根がない場合は雨だれが目立つため、オススメしません。
弊社でウレタン塗料を選ばれるお客様の割合
弊社では、塗料グレード別の使用割合は、アクリル0%、ウレタン10%、シリコン20%、ラジカル制御40%、フッ素15%、光触媒0%、無機塗料15%となっています。
ウレタン塗料が10%なのは、標準プランに入れていないからです。せっかく弊社を選んでいただいたお客様の大切なお家を守ることを考えると、メリット、デメリットの両方から考えてもオススメできる塗料ではありません。
ただし、弾性型や防水性の高い厚膜塗装が必要な場合は使用する場合があります。
こんな方にオススメする塗料です
ウレタン塗料は、室内の木部塗装や床のコーティングにオススメです。家具やテーブルには2液対応のニスが使われており、密着性が高いためコストを抑えたい場合や、木部のみの部分塗装にも使用される場合があります。
また、店舗で定期的に塗替えが必要な場合は、光沢の良さから景観面でオススメできる塗料です。
代表的なアクリル塗料
■日本ペイント
ァインウレタンU100木部用クリヤー、1液ファインウレタンU100、ファインウレタンU100、オーデフレッシュU100Ⅱ、スーパーウレタンルーフペイント
■関西ペイント
アレスエコレタンⅡカンペ1液MレタンHG、セラMレタン、セラMレタン弾性、アレスアクアレタン、コスモレタンアレスセラレタン、アレスレタン、アレスポリマーレジン
■SK化研
クリーンマイルドウレタン、一液NAD特殊ポリウレタン樹脂塗料弾性クリーンマイルドウレタン、SK化研2液水性ウレタン樹脂床用塗料、水性アーキフロアーU
■キクスイ
SPパワーウレタン、ファインコートウレタン、ビュートップウレタン
■アステックペイント
マックスシールド1500U-JY
ウレタン塗料に関するよくある質問
■ウレタン塗料は、水分と相性が悪く湿度が高いときに塗布すると塗膜性能が落ちると聞いたのですが、本当でしょうか?
ウレタン塗料だからといって、水分との相性が悪いわけではありません。全ての塗料が水分と相性悪いです。基本的に塗料は、湿度80%以上の気象条件で塗装した場合に、ブラッシング(白化現象で塗膜表面に空気中の水分が凝縮し、乳白色にくもる現象。)が発生しやすいのが特徴です。
よくある例としては、冬場の夕方以降や梅雨時期などの湿度の高い日に、上塗りを塗装すると、夜露や急な気温変化により翌日の朝見ると白く艶が引いてしまっていることがあります。
上塗りは施工する際は、その日の湿度や気温や施工する時間配慮をしっかりと配慮すれば問題ありません。
■ウレタン塗料は、配合成分に強い毒性があると聞いたのですが、本当でしょうか?
ウレタン塗料だからといって特別毒性が高いということはありません。溶剤系の塗料は、どの塗料でも毒性はあります。板金塗装や焼き付け塗装などで使用される強溶剤と呼ばれる塗料は、シンナーの臭いも強烈で毒性は強いです。
しかし、近年の建築塗料は弱溶剤が一般的で、ホルムアルデヒドF4の商品が安心できます。改正建築基準法の施行により、建材のホルムアルデヒド放散の等級表示がされることとなりました。「F☆☆☆☆」マークの「F」はホルムアルデヒド、「☆」の数が多いほどより放散が少ないことを意味しており、その中で最も少ないものが「F☆☆☆☆」です。
建材(塗料も含む)はホルムアルデヒドの放散量により、下記のようにFスターで分類されています。
F☆☆☆☆:使用面積制限なし
F☆☆☆ :使用面積制限有り
F☆☆ :使用面積制限有り(F☆☆☆より使用面積は少なくなる)
マーク表示なし:使用禁止
また、メーカーが販売する正規な塗料に関しては安全データシート(SDS)が各塗料があるので、毒性に関しては安全に安心に施工することが可能です。
SDS(MSDS)とは、事業者が化学物質や製品を他の事業者に出荷する際に、その相手方に対して、その化学物質に関する情報を提供するための資料です。 化学物質の安全な使用・取扱いをするために、物質名、供給者名、分類、危険有害性、安全対策および緊急事態での対応など、詳細で不可欠な情報を記載します。
■ウレタン塗料専用のシンナーを使用しなければいけないと聞いたのですが、本当でしょうか?
ウレタン塗料に限らず専用シンナーが必要な塗料はさまざまあります。建築塗料で使われる弱溶剤塗料に関しては特別、すべて指定があるわけではありません。
ただし、メーカーによっては指定のシンナーがあります。特に強溶剤やクリアー、ニスの塗料に関しては指定シンナーも多くあります。
■ウレタン塗料は、柔らかく扱いやすい、硬化した塗膜もヒビ割れしにくいと聞いたのですが、本当でしょうか?
間違っています。ウレタン塗料だけが、柔らかく塗膜のひび割れに強いということではありません。
建築塗料には、微弾性型と弾性型に大きく分かれるのですが、昔は塗料の種類も少なかったため、弾性型のウレタン塗料が、ひび割れが多いモルタル壁やコンクリート壁に塗装されることが多くありました。
その認識が続いていることもあるのかもしれませんが、近年は、ほとんどの塗料に弾性タイプがありますので、塗装する素材の用途に合わせて選定することができます。硬化剤で弾性型に変更できる塗料もあります。
ただし、ウレタン塗料は追従性、柔軟性には優れているので、防水やシーリング材では多く使用されています。